Siegavram
- 2018/07/18
- 00:10
《脱色の羽》
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骸の仮面を付けた獅子型の獣に襲われた少女を、
空から獅子に襲い掛かる巨大な鳥が助け出した。
奇怪な獅子の身体を、カラスの様に貪り続けるその紅い鳳凰は、ようやく振り向く。
クチバシから垂れる、獣の体液は、強い金属臭を放つ。
『良い体だ』
爬虫類よりも鋭い瞳が、少女を睨む。
『俺の名はノヴァ・・・・・・』
冷ややかな微笑みの声をクチバシから漏らすノヴァ。
『お前の名前は?』
「・・・・・・えよ」
『あ?』
「さっさと喰えよ・・・・・・」
震えていた。当たり前だ、その少女は何も知らない。
何も分からない。ただ、教え込まれた情報と現実のギャップに、
処理が追いつかないまま、この状態だ。
『自惚れるなよ、XXXX』
「なっ!?」
『お前みてえなのは喰う価値はない、眺める価値はあるがな』
気色の悪い声質で、少女を嘲笑う。
ノヴァは《指先》で、その、余りにも白い肌を撫でた。
「・・・・・・っ」
彼女は寒気がした。《その男》の美貌に秘めた薄い影と、鋭く曲がった唇。
『もう一度聞こう、名前は?』
「・・・・・・------」
血色の悪い唇が、ボソボソと呟き。また《男》は笑う。
『こいつは傑作な話だなあ・・・・・・、お前のこと、俺は少し知ってるぞ』
ノヴァは囁き続ける。
余りにも冷たい右腕の指先がなぞる少女の首筋。
『言いにくいから、ツクモにしようか』
「ツクモ?」
聞き返す少女は、その男を見上げる。
『ああ、言いやすいだろう?』
震えていく手を、左手を掴みながらノヴァは、低く笑い言った。
ノヴァの血色の良い肌色は、白く染まっていく。
着ていた衣服も煤やほこり、返り血が目立つようになった。
『お前は俺の女だ』
「違う、ノヴァは、・・・・・・」
睨み合う二人。そして少女は・・・・・・。
「わしのものじゃ」
『はははははははは!!!!良いねえ、お似合いだなあ!?くくくくかかかかか!』
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